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中3海外研修旅行 9日目(12月13日)後半

昼食後は自由の女神を遠望できる(目視で10cm程度)スポットに移動して思い思いに写真撮影をし、バスに戻って車窓からガイドさんにニューヨークの様々な建築物を紹介してもらいつつ移動、最後はブルックリン大橋で全体の記念写真を撮影というのが予定されたコースでした。

 しかし現地のガイドさんのご好意で、9.11で多くの人命が失われたワールドトレードセンターの跡地にも、バスから降りて連れて行っていただけることになりました。かつてはグラウンドゼロ(爆心地)と呼ばれていたその場所には、人工の滝を備えたリフレクションプールが作られ、その周囲には亡くなった方々のお名前が刻まれています。生徒たちはそのプレートにそっと手を置いたり、名前を指でなぞったりしていました。最近はこの場所を9.11メモリアルと呼ぶ人が増えたそうです。繁華街の中心ほどの危険性はないにせよ、ここはニューヨーク、クリスマスを控えてごったがえす街中を歩きまわることおよそ40分の緊張のほどを、ご推察くださいますように。

 ブルックリン大橋が見える場所に移動する頃にはすっかり日も暮れて、イースト川にかかるブルックリン橋、マンハッタン橋、ウィリアムズバーグ橋と摩天楼の織りなす美しい夜景が望めるバッテリーパークに到着しました。記念写真を撮って、いよいよアメリカでの最後の夕食へ、となるはずでした。

 しかし現地で暮らすガイドさんの融通無碍なご判断は、筆者に安らぎを与えてくれません。夕食の時間まで少し余裕があるので、“ベッセル”なるものを見に行くことに。展望台を兼ねたそのパブリックアートには美しく電飾が施され、時代の最先端を行くニューヨークを感じました。周囲にはおしゃれで気取った感じ、知的でお金持ちといった感じの人々もたくさんいて、これもまたガイドさんが生徒たちに見せたかった、ニューヨークのひとつの姿だったのかもしれません。すれ違いざま、少し身体が触れてしまった際に、小声で「pardon」と言う人々にも、初めて出会いました。

ようやくたどりついた夕食会場はChef Yu、中華料理です。もうすぐ帰国できるうれしさからか、ハメを外して大盛り上がりのテーブルもあったようですが、貸し切りのフロアだったので他のお客さんに迷惑がかかることはなかったと思います。この子どもたちもいつか、こんなふうに宴会を盛り上げる“おじさん”になるのかなあと、将来の姿が透けて見えるようでした。

 夕食後は来た時と同じJ・F・ケネディ空港へ移動して、日付が変わってからアメリカを飛び立ちます。とてもとても長く、緊張に満ちた1日もまもなく終わります。

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